転職エージェントに登録しようとして、1社だけに絞るべきか、複数登録していいのか迷ったことはないだろうか。「浮気しているようで気が引ける」と感じる人もいれば、逆に手当たり次第に登録して収拾がつかなくなる人もいる。
自分は長く採用する側にいた。エージェントから候補者を紹介される立場で、複数エージェント経由の応募が企業側でどう扱われているかを見てきた。結論から言うと、エージェントは少ないほうがいい。
エージェントは、少ないほうがいい
複数のエージェントに登録すると、それぞれが自分の知らないところで別々に企業へ応募を進めていくことになる。どのエージェントが、どの企業に、いつ応募したのか。これを自分で把握しきれなくなると、選考の進み方そのものを自分でコントロールできなくなる。
これは想像以上に負担が大きい。エージェントを増やすほど選択肢が広がるように見えて、実際には自分がコントロールできない場所で選考が同時に走る状態を自分で作ってしまっている。だから自分は、扱いきれる範囲でできるだけ少ない数に絞ることをすすめている。
それでも複数登録に意味が出る場面
とはいえ、1社だけに絞りきれない事情もある。エージェントには、業界や職種に特化したところと、総合的に幅広い求人を扱うところがある。特化型のエージェントは、対象領域で企業との付き合いが深く、総合型では出てこない求人を持っていることがある。この、企業とのパイプの太さの違いは、1社だけでは埋められない。
複数登録を検討するなら、この利点と、選考の進捗を自分で管理する負担というトレードオフを理解した上で使うのがいい。特化型を1〜2社、必要に応じて総合型を1社加える程度が、負担と利点のバランスとして扱いやすい。
重複応募は、実はそこまで問題にならない
複数登録していると気になるのが、同じ求人に別々のエージェント経由で応募が重なってしまうケースだ。
これは企業側の採用管理システム上で発覚する。実務では先着順で扱われることが多く、自分が見てきた範囲では、これが大きなトラブルになったことはない。悪目立ちするような話でもない。
ただし、候補者側は自分がどのエージェント経由で何に応募しているかを把握しておいたほうがいい。企業側は先着で淡々と処理するだけなので、候補者側の管理がずさんだと、自分が把握していない結果だけが後から返ってくることになる。
(エージェント経由と直接応募で、そもそも社内の扱いに差があるのかは別記事で書いた。)
担当者との相性は、運の要素もある
エージェント選びで見落とされがちなのが、会社そのものより、担当してくれる個人との相性が大きいということだ。同じ会社に登録しても、担当者によって紹介の熱量や情報の伝わり方は変わる。
見極めの手がかりの一つは、紹介された求人について、なぜその求人を自分に勧めたのかを説明できるかどうかだ。希望条件をなぞっただけの説明ではなく、こちらが話した背景まで踏まえて理由を話せる担当者は、丁寧に向き合っていることが多い。
1人の担当者との面談だけで判断を確定させず、違和感があれば早めに担当変更を申し出る。あるいは、別のエージェントも試してみる。それくらいの柔軟さでいたほうが現実的だ。
(担当者との関係が深まるほど、伝わる情報の質がどう変わるかは別記事で詳しく書いている。)
まとめ
エージェントは、多いほど有利というわけではない。自分で選考の進み方を把握できる範囲に絞るのが基本で、特化型やパイプの太さを理由に複数使うとしても、できるだけ少ない数で回すのがいい。重複応募そのものは先着順で処理されるため過度に心配する必要はないが、自分の応募状況は自分で把握しておいたほうがいい。担当者との相性は、会社選びだけでは決まらないことも覚えておきたい。
