「実務経験3年以上」とあるのに、自分は2年。こういう求人に応募していいのか迷うことはあると思う。
自分は長く採用する側にいて、求人票を作ることも、応募者を書類選考で見ることもやってきた。「必須」と書かれている条件でも、実際の選考では同じ重さで扱っていたわけではない。
「必須」でも、同じ重さとは限らない
必須条件がいくつか並んでいても、そのすべてを同じように扱っていたわけではない。本当に外せない条件もあれば、できれば満たしていてほしい、という程度の条件もあった。
本当に外せない条件は、求人票に書くだけでなく、エージェントに「ここは必ず見てください」と個別に伝えることもあった。
一つ欠けていても、通ることはあった
実際に、必須条件を一つ満たしていない人を書類選考で通したことはある。他の必須条件でかなり深い経験があったり、歓迎条件に当てはまる経験をいくつも持っていたりする場合だ。
見ていたのは、条件をいくつ満たしたかではない。足りない条件があっても、別の経験を見て「この仕事はできそうだ」と判断できるかどうかだった。
逆に、一つしか欠けていなくても、それがその仕事をするうえで外せない条件なら厳しい。
求人を出したあとで、条件を変えることもある
最初から、条件にぴったり合う人が市場にほとんどいないと分かっているポジションもある。求人を出したあと、想定より応募が集まらず、懇意にしているエージェントと相談して条件を緩めることもあった。
具体的なエピソードとしては、あるとき、募集人数がたった1名のポジションを担当したことがある。会社の中でも新しく生まれた概念のポジションで、他社の求人を探しても、同じような役割の募集はどこにも見当たらなかった。求める経験・スキルを兼ね備えた人材は、市場にほとんど存在しないということを懇意にしているエージェントからもアドバイスをもらった。
案の定、求人を出してもなかなか応募は集まらなかった。その懇意にしているエージェントに相談し、どうしても譲れない条件だけを残し、他の条件を緩めることにした。新しい概念ポジションがポジションである以上、必須要件を全て充足するスキル・経験を有する候補者を待つより、近い経験を持つ人の中から、この役割を任せられそうな人を見極める方が現実的であった。
同じ「必須条件」でも、候補者が集まりやすい求人と、なかなか見つからない求人では、運用が変わることがある。
記載順がヒントになることもある
自分が求人票を作っていたときは、部門に採用条件の優先順位を確認し、重要なものから上に書いていた。だから自分が関わった求人であれば、上にある条件ほど重要度が高かった。
ただ、これは企業共通のルールではない。順番だけで応募するかどうかを決めるのではなく、迷ったときに見る手がかりの一つ、くらいに考えておくのがいい。
では、どこまで条件を満たしていれば応募するか
まず、自分が満たしていない条件が何かを見る。その条件が足りなくても、別の経験で「同じ仕事はできる」と説明できるなら、応募する余地はある。歓迎条件に当てはまる経験があるなら、それも判断材料になる。
もう一つ、その求人にどれくらい候補者が集まりそうかも影響する。ただ、これは求人票を読んでいるだけでは分からない。エージェント経由の求人であれば、企業との関係が深いエージェントほど、書かれていない事情まで把握していることがある。
必須条件を一つ満たしていない。それだけで応募をやめる必要はない。本当に見るべきなのは、その条件がなくても、自分の経験でこの仕事ができると言えるかどうかだ。

