志望動機は思っているほど評価されない

面接

日曜の夜、志望動機欄を開いたまま、カーソルだけが点滅している。
「なぜ弊社なのか」の一文目が、どうしても書けない。

本当のところは、年収を上げたいから、今の働き方を変えたいから。それが本音で、御社への強い思い入れが最初からあったわけじゃない。でも、それをそのまま書くわけにはいかない気がして、結局「御社の理念に共感し」から始まる、心にもない一文を書いている。

そんな経験がある人に、まず伝えたいことがある。

志望動機は、思っているほど見られていない。

自分はコンサルティングファームで、面接官として中途採用の合否判断に関わってきた。事業会社に移ってからも、人事として採用に関わっていた。その中で見てきた範囲の話として書いていく。

志望動機、実は思っているほど見られていない

先に書いておくと、志望動機がまったく評価されないわけではない。ただ、多くの人が想像しているほどの重みでは扱われていない、というのが実感だ。

面接官が評価する時に重く見るのは、主にこの3つだ。

  • これまでの経験・実績が、募集ポジションの要件とどれだけ合っているか
  • 論理的に話せているか、質問にきちんと答えられているか
  • 一緒に働きたいと思えるか

志望動機は、この中でかなり優先度が低い位置にいる。自分が見てきた範囲では、志望動機の完成度そのもので合否が決まった記憶はほとんどない。

では何のために見ているかというと、中身の完成度というより、「ちゃんと自分の頭で考えて応募しているか」という温度感の確認として使われている場面のほうが多かった。「本当に転職を検討しているのか」が伝わるかどうか、と言ったほうが近い。

とはいえ「最低限」を満たさないと減点になる

ここで誤解してほしくないのは、「志望動機はどうでもいい」という意味ではないということだ。

評価されにくいのは事実だが、最低限のラインを割ると、そこは減点として効いてくる。評価されない要素と、マイナスになる要素は別物だ。

落ちる志望動機に共通するパターン

評価者の側から見て、「温度感が低い」と映る志望動機には、共通点がある。

  • どの企業にも当てはまる、使い回しの内容になっている
  • 会社のサイトに書いてある言葉をそのまま並べているだけで、自分の言葉になっていない
  • 転職の背景(なぜ今の会社を離れるのか)と、志望理由がつながっていない

この3つは、書いた本人にはなかなか気づきにくい。だからこそ、評価者からはよく見える。

最低限クリアすべきライン

書き終えたら、以下を確認してほしい。

  • この文章は、他の企業にそのまま使い回せないか
  • 自分の経験・転職理由と、志望理由が地続きになっているか
  • 会社の公式情報の丸写しになっていないか

この3つを満たしていれば、志望動機で大きく減点される可能性はかなり下がる。

志望動機に時間をかけすぎなくていい理由

ここまでを踏まえると、伝えたいことは一つだ。

志望動機を、完璧に磨き上げる必要はない。
最低限のラインを超えたら、その先の作り込みにかける時間は、他に回すべきだ。

これは「手を抜け」という話ではない。評価に効く場所に、時間を再配分しようという話だ。

自分が見てきた範囲では、志望動機を何時間もかけて磨き込んでいる人ほど、職務経歴書の実績の書き方や、面接での受け答えの準備が手薄になっている、というケースが多かった。志望動機は最低限のラインを超えたら十分。それ以上は、評価への貢献度が高くない場所に時間を投じていることになる。

浮いた時間は何に使うべきか

では、志望動機にかける時間を減らした分、どこに回すべきか。

職務経歴書の実績の書き方

職務経歴書は、志望動機よりもずっと重く評価される部分だ。特に、実績をどう言語化するかで印象は大きく変わる。

ここで言えることを一つだけ挙げるなら、実績は「会社の看板」ではなく「自分が動いた部分」で語れているかどうかが分かれ目になる。この点を掘り下げたのが、以前書いた「会社の看板で出した実績は、面接官の頭の中で自動的に値引きされる」という記事だ。志望動機よりも、こちらに時間を使う価値がある。

逆質問の準備

面接の終盤にある逆質問も、実は評価に直結しやすい部分だ。聞く内容そのものより、「入社後をどれだけ具体的に想像できているか」が伝わる場面になる。詳しくは、別記事で扱っている。

まとめ

志望動機は、多くの人が思っているほど評価の重みを持っていない。ただし、最低限のラインを割ると減点になる。「見られていない」と「適当でいい」はイコールではない。

最低限のラインを超えたら、そこから先の作り込みに時間をかけすぎず、職務経歴書や逆質問など、より評価に直結する部分に時間を回すべきだ。

志望動機に何時間も使って消耗している人は、一度その時間の配分を見直してみてほしい。

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